1 笑えない妃

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男にしては艶のある最高級の絹糸のように柔らかな金の髪は肩につくまでと少し長い。 すべてのパーツが絶妙なまでに揃い整った顔立ちと、夏の木々を思わせる爽やかな緑の瞳で微笑まれたら誰もが釘づけになるだろう。 ――――私を除いて。 「名前でなく、その愛称で呼んで頂いてもけっこうですわ」 皮肉を込めてそう答えると、目の前に茶器が置かれる。 温かな湯気だけが私の心を癒してくれる気がした。 ……早く話を終えて出て行ってくれないかしら? 舌が痺れてきたわ……どうやら、痺れ薬のようね。しかも思ったよりも強力な。 早くこの人を追い出さなくては。 「まさか、あなたにそのような無礼な態度は取れませんよ、シラーの姫君」 そんなこと頭の片隅にもないでしょうに……この男には。 .
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