訳ありな、転校生

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「……あ、君たち」 ──とある休日、商業区で。 「あぁん?」 機嫌の悪そうな三馬鹿が、爽やかに呼び止める声に足を止めた。 「って、何だよ、なんか怒ってるの?」 呼び止めた声の持ち主は、スラリとした細身の青年とも取れる男だった。 水色の少し長めの髪に、銀縁のメガネ、整った顔立ち。 緋色のローブをまとう、いかにも魔術師という格好のイケメンだ。 「なんだ、眼鏡か……」 「仮にも教師に対して失礼じゃないかな……」 とは言いつつも、あまり強くは言えない様子である。 それもそのはず、彼こそが三馬鹿が一年生の時に下した担任教師、市川ギオなのだ。通称眼鏡。
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