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……そして、この春、問題児とも呼ばれる三人に、新たなる巨大な壁が立ち塞がる。
「……ん?」
犬の獣人、ネアルは、教室の前の扉が静かに開くのを見た。
そして、人が入ってくる様子もないのにひとりでに閉まるのを見て、眉をひそめる。
その数秒後、ひょいっと教卓の上に何かが飛び乗った。
それは、二、三等身ほどの小さな背丈の少女に見えた。グレーの髪を白いリボンでツインテールにしており、眠たげな目は深いターコイズブルー、頭には丸い小さな獣の耳があり、何らかの獣人であることが見てとれる。
その子供っぽい獣人は、がやがやとうるさい生徒たちを眺めたあと、自分の立つ教壇をガンッ!と強く踏み鳴らした。
「五月蝿いの」
淡々と一言を発し、それだけで生徒たちを黙らせた。
注目が集まったのを確認した彼女は、事務的な口調で自己紹介を始める。
「ミュウはこれからお前らの面倒を見ることになる、安藤ミュウなの。よろしく頼むの」
その名前が上がった瞬間、教室がまたざわつき始める。……三人の馬鹿を除いては。
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