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だんだんっと教壇を鳴らして言葉を発せずに生徒を静粛させる、担任教師らしいミュウは、後ろの席に集まっている三人組を意味ありげに睨み付けたのち、話を再開する。
「おい兄弟、今先公こっち見なかったか?」
「……いいから黙ってろ」
生徒の反応から何らかの意を感じ取ったネアルは、ベロスを制した。何か嫌な予感がする、と。
「お前らも知ってると思うのだけど、ミュウは学校の教師陣の中でも二番目に強いの。というのは、秋の月半ばで行われる『剣大会』で見たやつもいるだろうからいいとして」
剣大会?と首をかしげたベロスを一睨みしつつ、ミュウは続ける。
「本来ならミュウは上位クラスを担当するのだけど、今回は特別にこのワーストクラスを受け持つことになったの。正直不服だけど、だからといって絶対に『手は抜かない』から、全員覚悟してほしいの」
ミュウの言葉の端々に含まれる棘から、ネアルは、嫌な予感を確信へと変えた。
学内二位の実力を持つ教師がわざわざ最低クラスの担任になる理由、それは……。
「私の話は以上なの。あとは各自帰ってもいいの。ただ、明日は身体測定だから、動きやすい格好で来ることを推奨するの。それと……、」
ミュウはあからさまに害意を含んだ視線で、ネアルたちを睨み付ける。
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