Alice of oblivion

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「アカネ? 極悪非道な怖い顔だよ?」 「誰のせいだ誰の」 カラバさんが現れてから、アカネさんの機嫌がすごく悪そうに見える。二人は仲が悪いのかも? 「まあまあ、オレにだって紆余曲折な状況下にあることもあるんだよ? もちろん、情報屋にタダで物事を聞こうなんて言語道断だけどね~」 カラバさんが何かを喋りながらアカネさんに近付く。アカネさんの眉間にシワが寄ったけど、カラバさん大丈夫かな。 「そう言うからには、有益な情報を仕入れてきたのか?」 「もちろん! 悪戦苦闘に悪逆無道を重ねた、ちゃんと利益になる情報を仕入れてきたよ~」 カラバさんが何を言っているのかはさっぱりだったけど、アカネさんの機嫌が多少はよくなったから、多分良いことを言ってたのかな。 二人の会話を黙って見ていたからか、カラバさんが私の方を向いた。そしてしゃがんだ。目線が同じ高さになって、仮面がよく見えなくなった。 「あ、オレね~、情報屋やってるんだ。アリスちゃん可愛いから、タダでいいよ! 依怙贔屓ってやつだね!」 「は、はあ…ありがとう、ございます?」 いまいちカラバさんの言葉を理解できなかった。なので首を傾げながらお礼を言った。 「おいネコ。気が済んだなら、さっさと仕事に戻れ」 「はーい。アカネってば直言極諫なんだから~」 いつの間にやらアカネさんはエレベーターを呼び直したみたいで、チーンという音と共に扉が開く。 カラバさんに続いて、私とアカネさんもエレベーターに乗り込む。 右にアカネさん。左にカラバさん。二人とも私よりずっと背が高いから、なんだか自分が余計に小さく思えてくる。 「……あの、カラバさん」 「ん~? どうしたのアリスちゃん」 上を向く私と、下を向くカラバさん。何センチくらい身長差があるんだろう。そう思いながら、ふとした疑問を口にする。 「さっき、アカネさんが言ってた『ネコ』って、カラバさんのことですか?」 「うん、そうだよ」 カラバさんは笑って頷いた。気がする、声的に。 「なんて言ったらいいのかな、仕事用の名前なんだよね~」 「仕事って『じょうほうや』のことですか?」 さっき言っていたことを思い出して聞いてみたら、カラバさんは両手をバッと大きく広げて叫んだ。 「そう! 情報屋って、多岐多端で多岐多様だからねっ!」 「うるさい、狭い」 叫んだ直後に、広げた手をアカネさんに叩き落とされていた。
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