prologue

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『いつになったら見つかるのかな?ボクの大事なもの。』  闇のなかにこだまする少年の声。  姿形は一切なくただただ声だけが闇に響く。 『早く見つけなきゃ。ボクがボクになるために』  言葉とは裏腹に一切の焦りがない声色。むしろ状況を楽しんでいるように聞こえる。 『えーっと、ひとつ、ふたつ……うーん、思ったよりたくさんとられちゃったなぁ。まぁお陰でまた起きられたんだけど。ふふふ』  まるで新しいオモチャを買ってもらった子供の様に楽しんでいる。 『あっ、そうだ!どうせならあれをやってみよーっと』  途端、何もなかった空間にいくつかの白い光が多くの線になり散っていった。 『あの人達驚くだろうなぁ。本当に面白いんだよね。あー、待ちきれないよ!』  白い光は雨粒が川に落ちたときのような波紋を広げ次々に消えていっている。その数は両の指では数えられない。 『さぁ、ゲームの始まりだよ!』  光が消えまた何もない空間に戻ったあとに響くのは楽しそうな少年の笑い声だけだった。  
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