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適当に答えといた。何気なくチラと係長をうかがうと、耳がいつもの前傾姿勢に戻っている。なんかえらく気を抜いてるっぽいな……スイッチオフといった雰囲気である。
見てはいけないものを見た気分ですぐにわんばらまいぬに視線を戻した。
「いいだろう。ケンカなら好きなだけやりたまえ、結果はわかっているからな」
「たしかにうさぎ係長さんつよいからねぇ、くまむらくぅんがんばるんだよぅ」
凛としたわんばらまいぬの声につづいてオレにエールを送ってきたのは白い燕尾服を着た茶色い毛のネコのぬいぐるみで名はニャンニャンズという。
やはりモフコによる命名だった。ちなみにニャンニャン『ズ』と複数系ではあるがほかにネコのぬいぐるみがあるわけではない。
隣のわんばらまいぬにとって、ニャンニャンズが平時の間延びした口調で発したことばは、的を射ていなかったようだ。片眉を下げて苦笑しながらオレを眺めている。
わんばらまいぬの予想する結果にオレも気づきかけた。
、慌ててそれを考えないようにした。
いま、その結果に気づいたらダメな気がしたんだ。
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