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05
そんなオレの予想は外れた。いきなり背後から浴びせられる声がある。
「いまの発言は感心しないな、くまむら君」
ぐにっと振り向いて背後に目を向ける。学習机の側面、脚の役目をになう木の板に背を預けて立つふたつのぬいぐるみがあった。
「仮にもわれらが『棚の上の四天王』の紅一点に対する発言としてふさわしくないと私は思うのだがね」
「ああ、悪かったよ。つか勝手に『われらが』とか言うなよ。誰もそんな呼称を求めてないぞ」
そんなふうに自称しているのはオマエだけだ。
真っ白なローブをまとった、紫色の犬のようなぬいぐるみはわんばらまいぬという。
なんとなくフルネームっぽいのでオレはわんばらと呼んでいる。
まいぬと呼ばないのはわんばらに対し距離を置こうとしていることをさりげなく示すためである。
わんばらはフェルトでできた眉同士を寄せながらうなる。
「よい呼び名だと思うのだけれど……どうも君とは趣味が合わないようだね」
「合っていてほしいとは思ってないから好都合だ」
どうにもこいつは苦手である。そもそもこいつはモフコのことが大好きなのだ。
「にしても、珍しいこともあるじゃないか? 眠っているとは言え、姫君がいる前でここまで派手に動き回るなんて」
「ぬいぐるみだってたまには弾けたいときくらいあるさ」
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