小さなつぼみ

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ピン。軽い電子音とともに扉が開いた。 「これ、行ってきます。」 封筒を見せて歩き出そうとした。 「一緒に行こう。」 「え・・・?」 出しておいてって頼んだじゃん。 「あ、俺この辺全然だし、近場に何があるか見ておきたいし。」 それはそうだ。今日きたばかりだから。 「ご一緒してもいいですか?」 案外いたずらっぽい笑顔だったので、 ふっ。少し意外で笑ってしまった。 「いいですよ。じゃぁ、ポストまでご案内しますね。」 梅雨の前で晴れ間が続き、空は澄んでいた。 暑くもなく、心地よい気候でお散歩にはもってこいだ。 ポストまでの道はほんの1・2分。 たいして廻れるわけではないが、 とりあえず使えそうな場所は指差し話しながら歩いた。
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