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カタン。
封筒の束が中に落ちた。
「ありがとう。じゃ、戻ろうか。」
「はい。」
何が始まるわけでもない。
特に個人的な事、何も聞かれなかったし。
私も何も聞かなかったけど。
ただ、なんとなく、
楽しかった。
沈黙に戸惑って、無理に何か話さなきゃ。
とか、全然なくて。
楽だった。
なんて、事を遠くで思いながら
コンビニの前を通り過ぎた、その時、
ふっと左腕に何かが触れた。
「・・・っ?」
それは河野亮二の指先だった。
「コンビニ。」
「え?」
「何か買うんじゃないの?」
「あ・・・いや。」
そんな私の反応に、河野の表情は優しかった。
「いい・・・ですか?」
「もちろん。」
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