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『あ・・今日シチュウだったんだ・・先生、良かったら・・あ・・でも』
『ん?・・美味しそうだね・・頂いていいの?』
洗面所で手を洗いに行っていた先生に夕飯のお誘いを思わずしてしまった。
キッチンで飲み物の準備をしている時にふと気になり鍋のふたを開けると3~4人前ほどのシチュウが用意されていたのだ。
『・・ボクと一緒に食べてくれるんですか?』
『むしろいいのかい?』
あ・・どうしよう・・緊張する・・。
だって・・
『・・?』
もしボクが独りで母さんが倒れているあの場に居合わせたら多分パニックになっていた。でも、先生が居てくれたから・・
「大丈夫だよ・・」
先生は・・あんなに落ち着いて対処してくれて・・
かっこよかったな・・
先生と・・仲良くなりたい・・
『今温めるんで・・ソファで休んでてください』
先生はありがとうといい、リビングに移動する。
シチュウを温めつつ、パンとサラダを簡単に用意する。
するとケータイに連絡が。
父さんからだった。
特に大事に至ることは無いが点滴を打っているようだった。
今日は安静にした方がいいらしい。九時には帰るとのこと。
どうやら仕事を急きょ抜け出したので一度会社に戻るらしい。
そのあと病院に母さんを迎えに行くらしいのでその時間になるとのこと。
『どうですか・・?』
『すごく美味しいよ』
先生と夕飯を取ったあと、ボクは先生を自分の部屋に招いた。
少しの間話をしていると先生は本棚に視線をやっていた。
『本・・好きなんだね』
『・・本しか・・趣味が無いんで・・』
『君くらいの歳だとマンガとかゲームとかしそうなのに・・』
部屋を見渡す先生。
『禁止されてるんです・・』
『そうなんだ・・』
先生はボクの本棚をじっとみつめている。
『すごいね・・洋書も読むんだ?』
『あ・・それは・・・えっと・・はい・・』
先生が洋書を手に取る
どうしよ・・いや・・多分大丈夫なはず・・
鼓動が早くなる。
先生がチラリとこちらを見る。
『この小説・・結構官能的だよね・・』
『っ・・!?』
どうしよ・・まずい・・
『あっ・・あのっ』
『ん?どうしたの?』
『母さんには・・黙っててもらえませんか・・?』
先生は洋書をパタリと閉じた。
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