1173人が本棚に入れています
本棚に追加
先生の顔がまた近づいてくる
『・・・・栗原君ダメだよ』
『せんせい?』
先生の唇は触れることは無かった。
そのかわり先生はボクの頭をなでる
『・・・・』
『?』
黙ったままボクを見つめている。
『・・僕が家庭教師だって言うのが実は嘘だったらどうするの?』
『え?』
『知らない人を家に簡単にあげて、家でふたりっきり・・しかも初対面の、さらに自分より年上の男に唇簡単に奪われて・・』
メガネの奥の心配そうな先生の瞳。
『・・ご・・めんなさい・・』
『普通はもっと警戒するし・・それに男の人とこんなことおかしいって思って抵抗しなきゃ・・』
急に自分のしたことが恐くなってくる。
どうしていいか分からず自分の手を胸の前で握り先生から視線を逸らす
『・・せんせいは悪い人なんですか?』
『え?』
『・・・・独りが・・寂しいんです・・』
『栗原君?』
『先生が・・悪い人でも・・先生と仲良くなりたかったんです・・ごめんなさい・・』
それを聞き、先生は少しの間黙っていたが、ふう、と息を吐き荷物を持ち立ち上がる。
『先生?』
『今日はもう帰るよ』
『行っちゃうんですか?』
どうしよう・・嫌われちゃったのかな・・
『・・お母さんにバレたら僕はクビになってしまうんでしょ?後日改めてまたお邪魔するよ』
『え・・?』
目をぱちくりするボクに先生は近づく。
『君の家庭教師になってあげる』
『せんせい?』
『君の知らないこと、僕が教えてあげるよ』
先生は優しく微笑んだ
『・・・・あ・・あの・・』
『お返事は?』
『は・・っ・・はい・・』
先生はボクの額にキスをすると家を後にした・・
最初のコメントを投稿しよう!