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『・・・・せんせい』
どうしよ・・先生にばれちゃった・・
先生が返った後もしばらくの間ドアを見つめていた。
父さんと母さんが帰ってきてから、やはり先生の事を聞かれた。
母さんを救急車に乗せた後すぐに帰ってもらったと伝える。
ああ、母さんに嘘、ついちゃった・・
母さんが先生に今日の事を謝罪するために電話をかける。
ボクは心臓の鼓動が早くなって、その場に居るのが恐くなる。
お風呂に入ってしまおうと部屋に戻りタンスからパジャマを取り出す
チラリと本棚に視線を送り、先生が手に取った洋書をめくる。
たしかに分からない描写も多々ある。
でも、登場人物同士が周りに隠れて愛し合ってるこの禁断的な内容。
さらにそれが英語で書かれていることでそのフィルターの向こうにある彼らの秘密に自分がこっそりふれるような感覚。
中には俗語というものがあり、僕が持っている辞書には詳しくのっていないものもあった。
それらはこっそり図書館の辞書で調べていった。
一番衝撃的だったのは、キスの後の描かれ方。
口以外の場所にキスをするだけでドキドキするのに
Thrust・・突っ込んで・・
Spurt・・噴出して・・
何が起こってるの・・?
・・なんでこの人達は何度も『ah』と言ってるの?・・苦しいの?
なんでキスをした後に苦しんでるの?
なんで突っ込むの?好きなんじゃないの?ahって痛がってるのに・・more・・なんでもっと?
最後に噴出して・・キス・・わかんないよ・・
恐くて途中までしか調べられていない・・
何かが起こっている。
それは確かなんだ・・
『僕が教えてあげる・・』
・・知りたい・・凄く知りたい・・
でも聞いていいのかな・・
嫌われないかな・・でも・・
仲良くなりたいって言ってくれた・・
パタリと本を閉じ、部屋を出てリビングの前を通ると母さんは今まさに先生と電話の最中だった。
今、母さんと先生は電話をしている。
ボクのルールを植え付けられている。
ボクはそそくさにその場を後にし風呂場に向かう。
服を脱ぎ、そっと口に手を当てる。
先生とキスしたから・・ボクも苦しくなったのかな・・
『先生・・ボク苦しいよ・・』
教えてほしいよせんせい・・お願い、母さんのいう事きかないで・・
下半身がじんわりと熱くなる
『・・!?』
ボクは急いで服を洗濯機へ入れると風呂場のドアを閉めた。
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