lesson1「返事はしっかりハイ。」

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『じゃあ、お父さんも病院にすぐ向かうようだし僕も今日は・・』 『あ・・』 『・・栗原君?』 救急車が行った後、ボクの様子を見つつ、家を後にしようとした先生の服の裾を掴んでしまった。 『あ・・えっと・・ありがとうございました・・』 急いで服から手を離し、そういった。 『・・・・。』 『ちょっと話そうか。』 『え・・?』 『今日も本当なら挨拶して色々話すハズだったし、時間大丈夫?』 『え・・あ・・』 『・・なにか用事とかあるかなこの後』 腕時計を確認する先生 『なっ無いです!』 『近所にファミレスあるよね。そこ行こうか?』 『ふぇ・・!?』 家族以外とファミレスに行くという状況になったことが無いので思わず動揺してしまった。 『栗原君・・?・・大丈夫かい?・・やっぱりお母さん心配でファミレスなんて行ってられないよね。』 『すっ・・すみません・・』 『家、上がってもいいかな』 『・・あ、はっ・・はいっ!』 思えばここ最近家族以外でこんな風に作業的な会話以外の会話をしたのはいつぶりだろうか。 思わずハイと返事を返してしまったが・・どうしよう。 家庭教師の先生といえど母さんの許可なく、家の中に招き入れたりして叱られないだろうか・・ そんな不安がよぎる。 でも・・ 『栗原君?・・本当に大丈夫かい?』 『いえ、上がってください先生。』 ボクは先生を家に上げてしまった。 だって・・この人はまだ、母さんにルールを教えられていない。 次会う時はきっと距離を置かれる。 だから。 今だけ・・
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