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あの時ああしておけばよかった。こうしておけばよかったなんて考え込んだところで、時間を元に戻せない以上はどうやっても取り返しがつかない事は高校2年生になった僕にとってわかっているはずの事だった。いや、わかっていなければならない事だった。 だから、過ぎた事についてうじうじといつまでも悩み囚われる僕の性格は、きっと望ましくないと言えるという事も想像できていた。 とは言えだ。理解していても心が追い付いてくれない事も世の中にはあるのだと僕は今回の件を通して改めて思い知らされたという事を先に言わせて貰いたいと思う。 今回の物語の季節は5月の中旬、まだ肌寒さの残る、深夜の話だ。 僕こと、神前深好(コウサキミヨシ)は―――なんの因果か、再びアヤカシと出会ってしまったのであった。 もう二度と目の前に現れる事は無いだろうと油断をしていた。タカを括っていた。しかしながら、それは僕の勘違いで独りよがりも良いところだったのだ。 僕は、無惨にも人の手によって命を奪われた、二匹の黒い猫と出会ってしまったのであった。
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