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ちなみにだが、美依の今夜の服装は女の子らしく白の帽子に桃色のジャケット、白いミニスカートに黒のタイツを履いており、彼女の持つ金色の長髪と同色の瞳がアクセントとなって可愛さが増している。ただそれを本人に言えば調子に乗るだけなので口には出さないでおくことにする。
…それにしてもだ。自転車で並走をしているのでチラチラと見える太股がとても目に毒である。純情な高校生の僕からすれば、ドキドキが止まらなくて困るというもの。可愛さを出しつつ、タイツで寒さを軽減という、理に叶った出で立ちは、僕の精神を削るには充分な威力だった。
「…深好。そんな目で女性を見るなんて捕まっても知らないわよ?」
「み、見てないから!いやらしい目なんてしてねーし!マジナイワー!フカイダワー!」
…。
「…いやらしい目とは誰も言ってないわ」
語るに落ちるとはこの事である。
「い、いやぁ…しかしあれだな。夜中だと人混みがなくていいな」
まるで別世界だと、ぽつりと呟き、誤魔化すように、惚けるように僕は話題を反らすことにした。
日中にこの道を通ったときは、歩行者もさることながら車の数も多く、自転車で走りにくかった。それが草木も眠る深夜、こんなにも静かで人通りもないとなると、なんだか別の場所に来たような感覚に陥るのも当然かもしれない。
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