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「まぁ、確かに近年の人間は増えすぎて、あっちへ行っても、こっちへ行っても、どこへ行っても目に入るから疲れてしまうわ…」
やれやれと言った感じで首を振りつつ、年寄りくさい台詞を吐いているが、見た目は僕と同い年くらいの少女なのでまったく似つかわしくない。というかその話し方をなんとかすれば、まだ可愛いげというものがあるのかもしれないが、人になって日が浅いのだから仕方ないんだよなと心の中で納得する。
「しかし、わちゃわちゃしている様が似ているからって『人ゴミ』とは昔の人間は面白いことを考えるわね」
「おい、ちょっと待て!僕だけならまだしも人様まで巻き込んでひどいこと言うなよ!色々とまずいから!」
混雑っていう意味で人混みであって、先人達はそんなこと思っていないと信じたい。というかそんなことを常日頃考えていたのか、コイツは!?
「別にいいじゃない。誰も聞いてなんかいないんだし」
「いや、もしかしたらいるかもしれないからよくないってば!今すぐに訂正して!」
例えば見てる人…とか。
「わかったわよ…。じゃあ『ゴミ』ね」
「重要な部分を抜いちゃった!」
いくら人が嫌いだからとはいえ暴言過ぎるぞ、コイツ。日が浅いなんて言い訳してちゃダメだ。早くなんとかしないと…。こんなにも早く仕方ないと言ったことを撤回しなければならないとは、美依はなんて恐ろしい子…。
「見ろ。人がゴミの…」
「それは言っちゃダメだ!」
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