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「さてと、着いたぞ」
そう言って風音さんはジープを止めると、外へと降りる。
それに倣い俺も外に出れば、目の前には比較的大きな建物が建っている。
塀に四方を囲まれているらしく、見た限りでは目の前に鎮座してる正門を通るしか中に入る手段はなさそうだ。
今は開いている門扉の脇には看板らしき銅板が埋め込まれており、エスポワール養成施設と掘り込まれていた。
「ここが君空がしばらく缶詰にされるだろうエスポワール養成施設だ。正規の戦闘員になる前の訓練兵が通う学校とでも思ってもらえばいいさ」
説明しながら風音さんは施設の入口へと足を進める。
その後ろを歩きながら遠くを見れば野外訓練場のようなものが小さく見え、訓練生と思われる人々が掛け声をあげていた。
「おっと……」
急に足を止めた風音さんの横から覗いてみると軍服に身を包んだ一人の男性。
年齢は三十代後半から、四十代前半といったところだろう。
「来たか、そっちの小僧がそうか?」
「はい、彼が君空 光揮です」
「わかった。ご苦労だったな風音。もう下がっていいぞ」
「了解しました」
一度敬礼してから風音さんが俺に向き直り笑顔を見せる。
「頑張れよ、君空。お前が俺と並んで戦う日を待ってるぜ」
最後に肩をポンッと叩いてから、風音さんはジープに乗り走り去っていった。
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