第1章

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「は?アンケート?」   区立亜久津(あくつ)小学校の近くに引っ越してきて1週間。いきなり小学校に呼び出された。   まぁ、うちからここが一番近いのだから、たぶんここに通うことになるからちょうどいいのだけれど。 「そうなんだよ。いきなりごめんね、えっと~…」 「歌音です。先代歌音(さきつかかのん)。」   ちょっとイラッとしながら答える。   呼び出しといて人の名前覚えてないんですか!? 「歌音ちゃん。どうかなるべく1人で、このアンケートしてね?」   この人は校長先生だろう。 「はぁ……?」 「お母様ですね?」 「はい」 「この学校がお宅から一番近いということで、この学校に通われる、ということ でよろしいですね?」 「はい」   あ、そうなの?いつのまに… 「今のうちにご家族のプロヒィールをお教えして頂きたいのですが…」 「はい」   校長先生は、アンケートっぽい紙をとりだした。 「ほかにご家族はいらっしゃいますか?」 「はい。高校2年の娘と高校1年の息子がいます。主人はIT企業の社員です」   どうかあのことだけは聞かれないでくれ~ 「なにか、特別な事をされてるとか…」   終わった… 「高校1年の息子が、芸能活動をしています」   まぁね… 「お名前は?」   そこまで聞くか! 「あ、先代夢野(さきつかゆめの)と言いまして…」 「あ~!あのアイドルグループ「BEST」のセンターの!」   最近人気出てきたから、先生達も多少は知ってるでしょ。 「そうですか。分かりました。では、こちらは歌音ちゃんのいないところで、ほ  かのご家族とお読みください」   いやいやいや!読ませてよ!   ちょっと不満を抱きつつ、家に帰った。 「あ、歌音お帰り」 「お兄ちゃん!撮影は?」 「これから。帰ったらまた話そうな」 「うん!」   お兄ちゃんは芸能人。大人気アイドルだ。   お姉ちゃんの名前は歌(うた)。   上から順に名前を並べると、歌、夢野、歌音。   よくお兄ちゃんは周りの人に、「「歌」がついた名前つけてもらえりゃよかったのにな」って言われる。   私とお姉ちゃん名前に「歌」が付いてるからね。夢野なんてそうそうない名前だし。   でもお兄ちゃんはお父さんの名前に似てるから好きらしい。 「いってきます」 「いってらっしゃい!」   ある意味ブラコンか、わたしは(笑)   
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