yume
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「…春奈ちゃん、ちょっと待っててね。」 僕は彼女を玄関口で待たすと、兄の部屋へ向かった。 ドアを開けると、兄は巨大な丸い背中をこちらに向けて、夢中で絵を描いていた。 オドロオドロしい筆致。 彼の大好きな、深海魚の絵だ。 「兄さん、仕事中にごめん…お願いがあるんだ。」 兄は筆を置くと、「また金か?」と言う。 しかし、文句も言わずに、壱万円札を数枚くれた。
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