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兄の子だと判明し、さらに僕と付き合い出したことで、特に家を出る必要がなくなった彼は、引き続きここで暮らすことになっていた。
明日も、明後日も。
彼がそれを望んでくれる限り、ずっと。
「明日、何がしたいですか」
佐藤君が問う。
好きなひととの明日。その響きに、きらきらとした幸福を感じる。
「……佐藤君の作ったごはんが食べたい」
素直な気持ちを伝えると、そんなことでいいんですかと彼は目を細めた。
「そんなの、いつでも作ってあげるのに」
「うん。でも、好きだから」
「……何が?」
「え? ごはん……」
「それだけ?」
佐藤君が、僕に促す。
僕は一瞬きょとんとなって、それからたちまち顔を紅潮させた。
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