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「ちなみに明日の夜は、何食べたいですか?」 「え……」 肉じゃが。シーフードカレー。マカロニグラタン。たらこパスタ。 既に作ってもらったことのあるメニューを思い返し、どうしようかな、とあれこれ考えて。ふと気付く。 「あの……、作ってくれるのは嬉しいんだけど。もし予定とかあったら、無理はしなくていいから」 「予定、って?」 「大学生だし。飲み会とか、合コンとか。付き合いがあるんじゃないかと」 自分はそういうのに積極的に参加するタイプではなかったけれど。 佐藤君なら、その手の集まりに誘われることも少なくないんじゃないだろうか。 「何かあったら、遠慮しないで行ってきてください。僕のことは気にせずに」 「別に。最近は特に予定とかないんで」 「そうなんだ……?」 「村上さんとごはん食べてる方が楽しいです」 その笑顔、反則。 不意打ちで胸を打たれ、僕は思わずシャツの胸元を左手で押さえた。
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