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「……でも、ほんとに気にしないで? 君が来る前の状態に戻るだけだし。今の感じに慣れすぎちゃうのも、怖いし」
本音を、重たくならないように笑って告げる。
佐藤君への気持ちを認めてからずっと、そのことについて何度となく考えてきたけれど、行き着く場所は常に袋小路で。
まず、彼と付き合っている自分を想像することができなくて。
また、万が一付き合えたとして、彼にとってプラスになるような何かが自分にあるとも思えなかった。
四谷さんと彼の恋人を見て、その思いはより一層強くなった。あんなふうになれる気がしない。
とすると、今の自分にできることは。
佐藤君がいなくなる前の自分を取り戻すこと、そう結論付けた。
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