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飲み物の追加注文をして、空になったジョッキをテーブルの端に寄せると、四谷さんは僕の目を見据えた。 「優しくされて困る、ってことは、そういうことだよな。いいのか、それで」 からかうときの目ではなかった。 彼は真剣に、僕のことを考えて言ってくれている。 「よくは、ないかもしれません。でも、彼と付き合う自分というのが想像できないんです」 想像し得る未来は、実現までのルートをも思い描くことができるけど。 全く想像し得ない未来には、どうすればたどり着けるのかさえ分からない。 「年下のイケメンと付き合う、という未来は、自分には難易度が高いです……」 俺も、と隣から少し弱い響きの声がした。 「……俺も、想像できてなかった。若葉と今みたいに付き合えるようになるとか、思ってなかった」 「四谷さんが?」 その声の感じは、全く彼らしくなかった。
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