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「村上」 「はい」 「別に、諦めることが悪いとは言わない。ただ、なるべくなら後悔はしてほしくない」 「……はい」 様々な感情が含まれた声を聞いて、僕は頷いた。 やわらかな照明の光の下で気の置けない相手と話していると、もう少しだけ、自分の恋心と向き合ってみようかという気持ちになる。 一歩くらい、足を踏み出してみてもいいのかも。 「振られたら慰めてやるから」 「……よろしくお願いいたします」 振られる確率の方が激しく高いだろうし、付き合った後のことなど何ひとつ想像できていないが。 ……うん、まあいいか。
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