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足を踏み出す、って。 一体、何をすればいいんだろう……? 「村上さん」 「……っ!」 洗面台の前で考え事をしていたら、急に至近距離に佐藤君がいて。声にならない悲鳴が口を突いて出た。 「ああ、すみません。驚かせてしまって。今夜はごはん、うちで食べます?」 「あ、うん……」 「分かりました。寒くなってきたんで、キムチ鍋とかどうですか」 「うん。食べたいです」 「じゃあ、遅くなりそうなときは、できれば連絡ください」 好きな声。 好きな笑顔。 どうしたら、自分のになるのかな。 鏡に映る自分は、ひどく、困った顔をしていた。
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