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「あ、村上」 「はい」 「昨日渡すはずだったんだが、忘れてた。これ、若葉から」 「え?」 四谷さんが差し出してきた小さな紙袋を受け取ると、中にはやはり小さな箱が入っていた。 「……GODIVA」 文字をただただ読み上げて、四谷さんを見る。 「迷惑をかけたからそのお詫びに、と。嫌いじゃなければ、受け取ってくれると助かる」 「チョコは大好きですが……、何だかすみません。気を遣わせてしまって」 この気遣い。 何て女子力の高い美人さんなのだろう。……女子ではないけれど。 「ありがたくいただきます。若葉さんに、よろしくお伝えください」 「ああ、言っとく」 やわらかく、四谷さんが微笑んだ。
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