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「とにかく、佐藤君への用件は彼に直接お願いします」 「はいはい。あんた、……名前は?」 「え? 村上、です」 「下の名前は?」 「瑞希、ですけど」 「ふうん……」 値踏みするように僕を見て、彼は言った。 「バイバイ、瑞希ちゃん」 そうして彼は踵を返し、駅方向へと去っていってしまった。最初から最後まで、訳の分からないひとだった。 「……早く帰ろ」 何だかどっと疲れた気がする。 小さな災難のことより今夜の夕飯に思いを馳せて、僕は彼が歩いていったのとは逆の方へと足を進めていった。
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