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「……難しいですね」
好きなひとは、そう簡単には自分を好きになってはくれない。
どれだけ外見が整っていようと、人徳者であろうと。恋愛の前では、誰もが等しく無力だ。
「はい。でも俺、諦めてませんから」
綺麗な笑みを浮かべて、佐藤君が言う。
「え……？」
「好きになってもらえるよう、頑張るつもりです」
告白みたいな真剣さで告げられ、僕は怯んだ。恋愛に関しては、頑張ることより諦めることの方が現実的だと思ってしまう自分には、眩し過ぎる。
「佐藤君は強いね……」
「そんなことないですよ」
「そうかな」
「本当に強かったら、そもそも恋愛しようとは思いませんから」
そう、かもしれない。
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