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もつれる足を必死に動かしながら、先ほどの雑貨店に飛び込む。
誰も居ない。
店内はつけっぱなしになったラジオから聞こえる音楽が響いているだけで。
多分、めったにお客の来ない店なのだろう。
ピークが過ぎれば、留守がちな店なのかもしれない。
肩で荒く息を吐きながら、絶望的な気持ちになる。
男の気配が近づいて来ている。
勢いよく、店から飛び出し、渾身の力で走る。
『捕まったら――戻れない』
そんな言葉が頭を過る。
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