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子供のように、男が楽しそうに笑った。
途切れそうになる意識を奮い立たせながら、ベンチの上に手を伸ばすと、何かが当たった。
その何か――自分のカバンを掴み、男の顔面におもいっきり叩きつけた。
「……っ!!」
男が一瞬怯んだその隙に、残っている力を振り絞り、男を突飛ばして、猛然とその場から駆け出した。
背中越しに男の嘲笑うような声が聞こえた――ような気がした。
『絶対に……逃がしませんよ』
――と。
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