act.4 残像

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世界が―― 私と彼を拒絶する―― わかっている。 彼も私も何かがおかしいと、捻れて歪んでいると。 わかっているのに。 その捻れが、歪みが。 どこか心地よくて――逃れられない。 この鳥籠のような場所で―― つがいを探すように、女の温もりを求め、閉じ込め、責め立てる事が―― 至高の悦びに変わる―― 「……主人、また一緒に堕ちよう」 泣いているような笑っているような寒波の声を黙って聞くことしか、私にはできなかった。 ―――――― ――――これは二人の男が私に与えた――――残像―――― 快楽の中で垣間見た――過去の残像――
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