act.4 残像

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――これは夢なのかもしれない。 二人の男から与えられた――夢という名前の残像―― ―――― 部屋に微かに漂う――墨の香り―― 一人部屋の中で。 白い紙に心を向けているこの時間が――堪らなく好きだ。 漆黒の墨汁に染まる筆を白い紙に落とし、ゆっくりと字を書いていく。 紙に滑る筆の静かな音も。 白い紙に写されていく文字も。 淡く漂う墨の香りも。 過去も未来も関係ない――ただ、静かに過ぎていく時間だけが――生きていることを感じさせてくれる―― 私の愛すべき全て――
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