act.4 残像

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心を研ぎ澄ませ――自分の全てをぶつけるようにして筆を走らせている時だった。 背後に。 しなやかな足音。 ゆっくりと振り返り、足音の主に微笑む。 「相変わらず……貴方は猫のようだ」 「おや? バレましたか?」 「声をかけてくれて構わないんですよ」 「作品に集中してらしたので。声をかけるなんて……不粋でしょう?」 「寒波さんらしい、気遣いですね」 「誉め言葉として受け取っておきます」 足音の主――寒波が艶然と笑った。 白銀の髪。白磁を思わせる美しい肌。 そして何より印象的な――紫の瞳――
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