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そうして彼は続ける。
聞こえるか聞こえないかぐらいの声で。
「僕は……いらない子供だから……」
――と。
無機質で冷たい表情に反するかのように――紫の瞳は燃えている。
『憎悪』と『哀しみ』
私も同じようなモノを抱えているからこそわかる――懐刀の――
『世界とのどうしようもないまでのズレ』
ただ黙ったまま、彼の顔を見ているしかできなかった。
そんな私に気づくと、子供のように無邪気な笑顔をこちらに向けた。
「ところで主人」
無邪気に笑いながら、私の隣に座る。
「“もう一つの仕事の話”」
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