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「寒波さん、それは……」
彼をたしなめようとすると、笑顔を消して遮ってきた。
「やだなんて言わせませんよ?」
そうしてニヤリと笑いながら。
「貴方だって……本当は見たいんでしょう? 綺麗な女が“快楽に堕ちる瞬間”」
“快楽に堕ちる瞬間”という言葉で――身体の芯が熱く尖って行くのがわかる。
白い肌――。食い込むように戒められた身体に絡みつく――緋色の縄――。
あの夜。
幼い頃に見た――“あれ”の記憶が甦る――。
か細く訴える彼の人の声――。
『お願い……。私を抱いて……』
「貴方も嘘がつけない人ですね、主人?」
寒波のその声でハッとなる。
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