act.4 残像

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「寒波さん、それは……」 彼をたしなめようとすると、笑顔を消して遮ってきた。 「やだなんて言わせませんよ?」 そうしてニヤリと笑いながら。 「貴方だって……本当は見たいんでしょう? 綺麗な女が“快楽に堕ちる瞬間”」 “快楽に堕ちる瞬間”という言葉で――身体の芯が熱く尖って行くのがわかる。 白い肌――。食い込むように戒められた身体に絡みつく――緋色の縄――。 あの夜。 幼い頃に見た――“あれ”の記憶が甦る――。 か細く訴える彼の人の声――。 『お願い……。私を抱いて……』 「貴方も嘘がつけない人ですね、主人?」 寒波のその声でハッとなる。
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