act.6 束の間

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言いながら、ゆっくりと手首を縛っている布をほどいていった。 水を含んだ布が手首からほどけ――久しぶりに解放される。 「そのままじゃあ、拭きにくいでしょう?」 解放された手首をさすりながら、寒波の顔を見る。 「言っときますけど」 寒波が微笑んだ。 「逃げようなんて甘い考えは捨てた方がいい。もしも逃げようなんてバカなことしたら……徹底的に快楽で責めて縛りつけてあげますから」 背中がぞくりと粟立つ。 寒波の微笑みから本気が伝わってくる。
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