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微笑みを崩さないまま、寒波は脱衣場の方に行き、自分も身体を拭き始めた。
ゆっくりと寒波の後ろをついて行き、自分も脱衣場に向かう。
脱衣場の籠に入っている着替えを見て、寒波が苦笑した。
「“これ”を持ってくるとはね……。主人はよっぽど貴女のことが気に入ったらしい……」
籠から取りだし、私に手渡してきた。
「これは……」
着物の……襦袢。
「昔ね、ある方がお使いになってたものですよ」
寒波が苦笑しながら続ける。
「主人は重ねてるんですかね……。貴女とあの方を」
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