309人が本棚に入れています
本棚に追加
そう寒波が言った時だ。
意識の中に何かが流れ込んでくる。
緋色の縄――。白い肌に絡みつく――たくましい男性の身体――。
『見ないでぇぇ!!』
そして悲痛なまでの――女性の絶叫――。
襦袢を手にとり、まじまじと見ている私に寒波が複雑な顔をした。
「……何か見えたんですね」
そのままため息一つ。
「とりあえず、それを着てください」
「着てくださいって……」
他にはないのか尋ねようとすると、見透かしたように答えられた。
「“とりあえず”と言っているでしょう? 後で貴女の服は用意しますから」
最初のコメントを投稿しよう!