act.6 束の間

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そう寒波が言った時だ。 意識の中に何かが流れ込んでくる。 緋色の縄――。白い肌に絡みつく――たくましい男性の身体――。 『見ないでぇぇ!!』 そして悲痛なまでの――女性の絶叫――。 襦袢を手にとり、まじまじと見ている私に寒波が複雑な顔をした。 「……何か見えたんですね」 そのままため息一つ。 「とりあえず、それを着てください」 「着てくださいって……」 他にはないのか尋ねようとすると、見透かしたように答えられた。 「“とりあえず”と言っているでしょう? 後で貴女の服は用意しますから」
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