act.9 罪と罪 罰と罰

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寒波の顔が炎に揺らめき、妖しい陰影を作る。 「なんで……」 力の入らない身体。研ぎ澄まされた感覚。 必死になって抗おうとしても、身体が言うことをきいてくれない――。 「なんで?」 妖しい陰影の中――。 酷薄な微笑みを浮かべながら、寒波が私の髪を撫でた。 「なんでこんなことをするのか? なんで僕は動けるのか? 聞きたいのは……どちらですか?」 髪を撫でている手がゆっくりと下に滑り落ち――服のボタンをひとつひとつ、丁寧に外していく。 「や……」 力の入らない身体で、それでもなんとか抵抗しようと、寒波の身体を腕で押してみる。 「まだ、そんな力が残ってたんですね……。たいしたものだ……」 皮肉を込めて笑いながら、その腕をいとも簡単に払いのける。
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