act.11 哀歌《エレジー》

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ユウとのあの出来事以来――。 寒波は極端に口数が減った。 必要最小限のことしか話さず。 目を合わさず。笑いもしない。 その態度は私だけではなく、ユウにも同様だった。 けれども、今の寒波は――。 黙ったままの私を見ながら、寒波がクスッと笑った。 「ほら、来て」 私の手首を掴んで、そのまま歩き出す。 子供が甘えるような声。 それとは対照的に、手首を掴む力は痛いぐらいに強く。 強引に部屋から出され、歩かされ。 心の中が不安で染められていく。 彼の心は――彼の心だけは、いまだに読めない。 触れようとすると、闇に飲み込まれそうな感覚に襲われ、正気を保っていられなくなるから――。
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