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彼の心は――おそらくユウのそれより深くて濃い闇に支配されている。
“僕に触れるな”
彼は――私を拒絶している。
拒絶しているくせに――求める。
いや、私をなぶって遊ぶことを――求める。
もしかしたら、ユウよりも“救い”を必要としているのは寒波かもしれない……。
ふと、そんな考えに襲われた。
強引に手を引かれ、寒波に連れて行かれた場所は居間だった。
居間に入ると、ユウと……もう一人、男がいた。
ノンフレームの眼鏡。品の良いスーツ。艶やかな黒髪。けれども、年齢は経ている――。
男の醸し出す雰囲気がそう言っている。
修羅場を越えた壮年の男――。
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