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男がチラリと私を見た。
その視線で感じた。
この男は――人の上に立つことに慣れた男だ――と。
そうして、もうひとつ。
どこかで見たことのある男だ、と。
それがどこなのか思い出せない。
モヤモヤとした不安が広がる――。
「……あの」
沈黙を破ったのはユウだった。
「どういったご用件でこちらに?」
男がユウを見る。
「いや……貴方が自らこちらにおいでになるなんて珍しいですから、佐多さん」
佐多……。
その言葉で頭にひっかかっていた――思い出せない誰かを思い出した。
『代議士・佐多亨』
政財界に大きな影響力を持つ……有名政治家――。
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