235人が本棚に入れています
本棚に追加
「自ら……ね」
低くて、良く響く声――。
テレビの街頭演説でも良く響く声だったな、と。
とりとめもなくそんな事を考える。
「呼ばれたんだよ、不肖の息子に」
「寒波さんが?」
“寒波さん”という言葉を聞いた瞬間、佐多がくっと喉を鳴らして笑った。
「……まだ、そんな“ごっこ遊び”をしてるのか? 下らんな……」
「あんたには関係ないだろう」
思わず息を飲む。
寒波の雰囲気が……纏っている空気が一変している……。
彼の……こんな人を突き放すような態度は初めてだ。
私をなぶる時でも、ここまではなかった。
最初のコメントを投稿しよう!