日常

5/5
前へ
/7ページ
次へ
「マル暴ですか。 厄介なことになりそうですね」 「全くだ」 優牙が言う面倒なこととは捜査のことではなく、反神無月組の勢力が、何か仕掛けてくるかもしれないと思ったのだ。 「もし、暴力団組抗争だったら、組対と一緒に捜査ですかね」 組対とは、組織犯罪対策部のことである。 「そうだろうな。 嫌な人でもいるのか?」 「嫌というか、苦手ですね」 「そうか」 「それにしても、これは酷いですね」 その死体は、拷問されたかのように所々傷付いており、被害者は苦しみながら死んだようだ。 「致命傷は、後頭部のこの傷ですか?」 「そう。 ショック死じゃないのが驚きだよ。 そうとう精神は強かったんだろうね」 「二宮さんでしたか」 二宮真琴。《ニノミヤ マコト》 腕がたつ監察医。 真と仲が良い。 だが、死体を解剖することを楽しみとする変人。 「生活反応があるし、何よりも気を失わない程度の痛みを与えていたみたいだよ。 殺ったのはプロだろうね」 「そうですか」 「ま、何かあったら気軽に言ってね」 「ありがとうございます」
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加