29人が本棚に入れています
本棚に追加
「手合わせ、お願いしても良いっすか?」
「あぁ」
「どうぞ」
狼は竹刀を手渡した。
本当なら真剣でしたいところだが、部下を傷付ける訳にはいかない。
「ありがとう」
「んじゃ、行くっす!!
シッ!!」
いきなり仕掛けてきたが、それを簡単にかわす。
「俺もやろうかな。
ハッ!!」
居合を仕掛け、それを狼が受け止めたが、その時に隙が出来、背後に回っていた優牙に呆気なく一本を取られてしまった。
けして狼が弱いのではなく、優牙が強すぎるのだ。
「ハハハ また負けちゃいました」
「隙は命取りだ。
何時でも相手してやるから、頑張れよ」
「はいっす!!」
優牙の良いところは才能を鼻に掛けるのではなく、周りと共に日々、強さを追い求めているのである。
そこに惹かれるのもまた一理。
優牙は竹刀を片付けると、ジムを出て朝食を食べに向かった。
「また狼のお相手ですか」
そこには、龍が食事の準備をしていた。
龍は事務的なことから家事まで、なんでも出来るのだ。
「あぁ。
大分筋も良くなってきた。
成長が楽しみだ」
「はい、本日の朝食で御座います」
「旨そうだな。
頂きます」
朝食は、大抵いつも和食だ。
今日もありきたりのご飯に味噌汁、魚に漬け物。
「ご馳走様。
旨かった」
「お粗末様です」
最初のコメントを投稿しよう!