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「マル暴ですか。
厄介なことになりそうですね」
「全くだ」
優牙が言う面倒なこととは捜査のことではなく、反神無月組の勢力が、何か仕掛けてくるかもしれないと思ったのだ。
「もし、暴力団組抗争だったら、組対と一緒に捜査ですかね」
組対とは、組織犯罪対策部のことである。
「そうだろうな。
嫌な人でもいるのか?」
「嫌というか、苦手ですね」
「そうか」
「それにしても、これは酷いですね」
その死体は、拷問されたかのように所々傷付いており、被害者は苦しみながら死んだようだ。
「致命傷は、後頭部のこの傷ですか?」
「そう。
ショック死じゃないのが驚きだよ。
そうとう精神は強かったんだろうね」
「二宮さんでしたか」
二宮真琴。《ニノミヤ マコト》
腕がたつ監察医。
真と仲が良い。
だが、死体を解剖することを楽しみとする変人。
「生活反応があるし、何よりも気を失わない程度の痛みを与えていたみたいだよ。
殺ったのはプロだろうね」
「そうですか」
「ま、何かあったら気軽に言ってね」
「ありがとうございます」
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