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「……」
「……」
足元どころか、林道の奥の雑木林を照らす懐中電灯。
薄闇の中に浮かび上がる、ノースリーブから出た彼女のすらりとした柔らかい腕、吸い付くように白い肌。
口を開く事も出来ないまま悶々と過ごしたこの時間は、1分なのか、10分なのか。
勇気を出して彼女の背中に回した手のひらに、じわりと汗をかいていく。
……こんな事なら、移動の途中に匠海から制汗剤をくすねておくべきだった。
そんなどうでもいい考えを巡らせながらも必死で冷静を保とうとした瞬間。
かれんちゃんを怖がらせた生暖かい風が、もう一度彼女の髪をさらって……
事もあろうかその艶かしい髪は、緊張Maxで彼女に触れる俺の二の腕を妖しく撫でて行った。
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