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下心半分、純愛半分。
彼女の体温が嘘みたいに熱く感じて、思わず背中に触れるだけの手にぐっと力を込めた。
さっきまで、嫉妬心だとか自尊心だとか下らないものに打ちのめされて奮起したくせに、いざ勇気を出してみれば力の入れるところが判らない。
実に情けない、俺。
何か……何か話さなきゃ。
会話、思いつかねぇ。
柔らかい肌の感触と、彼女の髪の甘ったるい香り。
ありとあらゆる“東雲かれん”を形成する物質が、俺の理性を逆撫でていく。
「……きょ、今日は、カレーの匂いじゃないんだ?」
何言ってんだ、俺!
しかも噛んでるし。
今すぐ彼女に対する下心の全てを詫びるんだ!
「……ふ」
かれんちゃんが俯いたまま、肩を震わせる。
やべぇ。マジやべぇ。完全に怒ってる。
肝試しなんかよりパネェ恐怖心を煽りながら、彼女はゆっくりと顔をあげた。
「……ふふ。ミコちゃんてば……おかしー」
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