純愛センチメンタル

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……小学生の時の林間学校。 たった4か月しか同じ学校にいなかった彼女の記憶にも、きっと残っているだろう。 最終日の前日の夜に催された、肝試し大会。 あの日のペアも今日と同じ、俺とかれんちゃんで。 お化けに怯えて俺に抱きついてきた幼き日の彼女。 教室の中で見る“東雲かれん”はいつも綺麗で上品で明るく完璧な少女で……だけどあの時、俺だけに見せた弱い姿。 かれんちゃんは怯えた表情のまま、お化けや幽霊が苦手な本当の理由を口にしたんだ。 『 御子柴くん、私…実はね…… 』 ……あの時と同じ。 震える肩先、白い肌、滑る髪、石鹸のような優しく甘い香り。 「本当は……まだ怖いんだろ?無理しなくていいよ」 そう声を掛けると、震える彼女はそっと顔をあげた。 「……ミコ、ちゃん」
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